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コルクの豆知識

コルクのマウスパッド 開発秘話

これまでに、マウスを20個以上買い換えてきました。PCの前にいる時間も長く、時代の流れに応じてボールマウス、光学マウス、レーザーマウス、無線マウスとほぼすべてのマウスを使ってきました。
その中で、マウスを何度買い換えても満足のいく使い勝手を実現するには、一緒に使う「マウスパッド」の存在も大きいということに気づきました。

どれだけよいマウスを使ったとしても、マウスパッドとマウスの愛称がよくないために使い勝手がまったく向上しないケースもあり、マウスは買い換えてもマウスパッドはノベルティでもらうものをそのまま使ったり、と実際はこだわっていなかったなーということにも気づき始めました。

コルクをたまたま使って、販売を決意

デスクマットのときと同じように、本当に偶然でした。
マウスをくるくる動かしているときに、偶然コルクのうすい原板が机の上に置いたあるまま操作していました。非常に使い勝手がよいことに気づいたので、これまでに購入したほかのマウスでも試してみることにしたのです。そのときの偶然の感触かもしれない・・・と。

偶然使ったのとは他のマウス たとえばボールマウス、光学マウス、レーザーマウス、無線マウスと全ての種類で動作を確認すると、私のこれまで持っているマウスパッドのどれよりも相性が良いことを実感できました。
「コルクってマウスパッドの素材としてよいのだなあ」と確認し、この素材を用いマウスパッドの開発に着手することになったのです。

これまで使ってきたマウスパッドの分析と、各マウスの特徴を掘り起こし

各マウスの特徴を知らなければ、最適なマウスパッドはできないと考え、下記のように定義づけてみました。
テストにつかったマウス

  • マウスパッド全般としては・・・スポンジや繊維質のものが多く、はがれやすい
  • 有線ボールマウスの特徴は・・・ボールにほこりや糸くずがからまると動きづらい
  • 有線光学マウスの特徴は・・・静電気やマウスパッド表面に、操作感が影響を受けやすい
  • 無線光学マウスの特徴は・・・早い操作にポインタがついて来ず、マウスを大きく動かして迷子ポインタを復活させるしかない
  • 無線レーザーマウスの特徴は・・・ほとんどのマウスパッドが対応できそう。ただし、充電は必須。
  • 有線レーザーマウスの特徴は・・・マウスのレーザーホールに細かいホコリが入り込むと、操作が不安定に。

ずっと手を置いて使うマウスパッドは、汗や皮脂の影響を受けやすく、厚みがあっても表面の素材がはがれたり、反りがでて使いにくくなったりするケースが多いと思います。ただ、どうしても買ってまで・・・と感じる人が多く、展示会でのノベルティでもらったものをそのまま使ったり適当に間に合わせていることが多いのでは?
そう考えると、シンプルで長く快適に使えるコルクのマウスパッドを検討しようと考えるようになりました。

コルク以外の素材もあわせて、試作を開始

マウスパッドは毎日使うものなので、実際に作ったものをスタッフで「とにかく使ってみる」という結論に至りました。マウスとの相性や手をのせた雰囲気、マウスのちがいによる操作感などの官能検査に近かったです。

マウスパッドを企画するにあたり、重要なのは「素材」と「サイズ」でした。

  • 形状
  • 市販品を見ていると、サイズの成約はさほどないような感じでした。
    ただ、通常は横長の長方形のマウスパッドが多いので、それをたてにして使ってみると手首がサポートされて負担が少ないように感じました。

  • サイズ
  • 大きさは、マウス操作に支障がない程度であれば問題がないかと。

試作、試作、試作・・・

【とりあえず作ってみた、第1弾】
標準的な長方形でコルクでマウスパッドを試作。(220×170 t3mm)
いたってシンプルなマウスパッドが完成。厚みによる手首にストレスは感じないし、マウスパッドの作業エリアとしても問題ない、マウスとパッドの相性もよく正確なマウス操作が可能になったように思いました。
たてにして使ってみても、幅が170mmあれば操作性に支障はないかな、と実感。うすめに作ったので、手首にあたる段差も気になりませんでした。
マウスパッドで作業領域試験

ただ、このときは表面の質感はまったく気にしておらず、そのためかマウスが動き始めるまでは若干重く感じたし、ニューコルク(当時のパワフルコルクの名称)でなく普通コルクで作ってみると、粉がこぼれて手がザラザラし痛くなったりしました。

【表面が気になったので、第2弾】
繊維と組み合わせたマウスパッドマウスの操作感が気になったので、すべりやすくするために異素材との組み合わせを検討してみました。

  • 自然繊維・・・綿 麻 ウール シルク
  • 化学繊維・・・ポリエステル アクリル レーヨン

いろんな繊維を試してみた結果、種類での差異はさほどありませんでした。ただ、作業エリアを小さくしても(150×150mm程度)マウス操作に違和感はなく、特に問題はありませんでした。
試作に使った繊維類

ただ、繊維を使うとどうしても周りがほつれてしまうので、これをきれいに仕上げるためにコストがかかる傾向にありました。
また長時間使用することで起毛してしまうと起毛の方向性によってマウスが動かしづらくなったりホコリがたまりやすく掃除する必要が出てくるので長時間の使用には向かないな・・・と実感。もっとシンプルに作って長い作業にも耐えるように設計しないといけません。

【製作ポイントが徐々に鮮明に、第3弾】
2回の試作をくり返し、だいぶ製作のためのキーワードが見えてきた、と感じました。
検討してみた結果、洗い出したポイントは下記のとおり。

  • 形状的にはかっこいいモノ。シンプルなものは他に山ほどある。
  • マウスパッド+リストレスト機能付
  • 厚みは手首に負担のない程度に抑える。
  • 耐久性を高く、長く使えるもの

マウスパッドの形状決定形状は、偶然ノベルティ用コースターを「弊社ロゴ」を模した形で作っていたので、それをまねしてみることに。
マウスを置いてみると見栄えがいいので、この形で商品化を目指して試作を進めることにしました。

実際にはロゴをさかさまにしています。それにより手首置き(リストレスト)が自然につく形状になりました。
マウスは円状に動かすものなので、操作領域が円になっていることもピッタリでは?と最初の直感どおり、形状はほぼこれに落ち着きました。

マウスの操作性=自在にすべりをコントロールできること、だった

マウス操作をしているとき、デスクの硬さをひろってゴソゴソいったり、ホコリがマウスに詰まってポインタが飛ぶのはとても不快ですし、集中力が欠けます。
マウスが快適にすべって、マウスパッドがズレることがないように、どのようなマウスパッドがよいかを考えました。いちばんよいのは、マウスを動かす際に手首だけを使って操作できること。それが結局は長時間作業でも集中できる、ということにつながると感じます。

表面に繊維を貼ることをあきらめた今、表面をどうすれば操作がよくなりコストパフォーマンスがよくなるか?
いろいろと考えていると、異業種交流会で「和紙と柿渋」を取り扱っているマルトモ商店中山社長と出会いました。柿渋に関していろいろと教えていただいたことを思い出し、いただいたサンプルをマウスパッドに塗ってみました。

柿渋はタンニン成分による抗菌作用がとても強いことを教えてもらったので、長時間手をおくマウスパッドでも清潔に使えて最適だと思いました。
表面に柿渋を塗ったマウスパッド
マウスパッド表と裏の塗装の違い半日ほど乾かし表面をさわってみるとツルツルしているので、「これは!」とあわててマウスを乗せて動かしてみると・・・繊維を貼ったものより軽々と動く!

マウスのレスポンスも良く、精度良く位置決めができてマウスと相性が良いことに率直に驚きました。他のマウスも試してみて感覚は非常に良く、マウスの操作にストレスを感じなかったのです。(※使用している柿渋は無臭柿渋なので、購入しお使いになってもイヤなニオイはしません。)

裏面は塗装をしないことで、コルクのすべりにくさを生かしました。マウス操作中にデスク上でズレないようにするためです。コルクがグリップになってほとんど動かずズレる心配はありません。

もちろん、ただ塗るだけでなく、塗装の回数や表面の磨き仕上げなど、マウス操作のためにいろんな工程をふんでいます。
調べる限りはだれも柿渋をコルクの表面に塗ったことなどなかったので、塗る回数、塗る濃度、コルク表面の凹凸等 解決すべき問題は山積み。それから、くり返しコルクへの柿渋の塗り方の習得を研究していきました。

自分の感覚が正しいかを、最終的にマウスでテスト

細かい作業が必要な人はマウスの動きの正確性を求めるし、長時間作業をする人はスムーズな動きを求めるかもしれません。
長時間集中するためにストレスなく使うには、ちょうどいい厚み(4mm)にできました。6mmを超える厚みはどうしても長時間使用で手首に負担がかかりやすいことがわかりました。

マウスのすべり試験
客観的にマウスの操作感を数値化するため、テーブルを傾けたときのマウスがすべり落ちる角度(安息角)を計測。上記結果は、3回平均をとった数値です。コルクのマウスパッドは、市販品と同じくらいすべりやすくなっています。

マウス操作のやっかいな点は、マウスパッドの上でマウスを操作すると摩擦しているので、常に静電気が発生していること。マウスパッドの上でマウスをころがすと静電気をつくっている状態で、周りのホコリが引き寄せられます。
コルクは、その粒の中に持っている水分で、静電気を放電させることができます。コルクがアースの役割を果たします。帯電性能試験の結果はこちら。

つまり、当店のマウスパッドは使うことで2つの大きなメリットがあります。

  • 当店のコルクマウスパッドは、なめらかにすべり、操作性がよくなる。
  • コルクを使うことで静電気を防止し、マウスにほこりがまとわりつかなくなる。

コルクに柿渋を塗装した技術がきっかけで、商品展開

柿渋をなめらかにコルクに塗る方法を考えたので、結果デスクマットなどの商品展開にも結びつきました。
もちろん、表面を平滑に仕上げるには塗装だけでなくみがきなどの仕上げが必要です。その方法が確立できました。

また、柿渋は仕上がりの質感や使い込んで味出しするにはよいのですが、どうしても塗って乾燥させると仕上がりにムラができることを発見したので、今ではアクリル塗装に全面的に変えています。(現在マウスパッドは柿渋塗装ですが、デスクマットなどの展開商品については全面的にアクリル塗装となっています)

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